2014年3月5日水曜日

3月3日(月)、スペイン司教評議会への演説


 愛する兄弟のみなさん、スペイン司教評議会の議長が皆さんを代表して、神のことばがとても早い時期から根を張り、協調と文化、聖性の実りをもたらししたスペインにおいて旅路を続ける神の民に忠実に仕えようという固い決意を表現してくださいまして、感謝します。皆さんはこれを特にまぢかに迫った、教会の最初の女性教会博士である(アヴィラの)聖テレジアの生誕500年記念をもって強調したいと望んでおられます。

 今、皆さんは多くの洗礼を受けた人々の無関心という厳しい経験に苦しんでおり、プライベートな生活で神を脇にやり、公的な環境で神を除外し、世俗的な文化を目の前にしなければならない時にいますが、皆さんの歴史を忘れないことはよいことです。そこから神の恵みは決して消えることなく、指令が寛大に今の現実において働き続けていることを学ぶのです。いつも、わたしたちの司牧的配慮に任されている人々の心に多く種を蒔く方に信頼しましょう(使徒的勧告『福音の喜び』68参照)。


 司教たちには福音の勇気ある本物の宣言をもってこの種に芽を出させ、模範と教育、身近さをもってその成長を丁寧に世話し、「主のブドウ園」、つまり誰も除外されたままにはならない園の総体においてこれを調和する務めが任されています。ですから、愛する兄弟のみなさん、努力の出し惜しみをせず、すべての人の心に届く福音に新しい道を開き、すでにその内側に救っているもの、つまり友であり兄弟としてのキリストを見出すことができるようにしてください。


 「仕えられるためではなく仕えるために来られ」(マルコ10章45節)、神の時を謙虚に尊重でき、忍耐づよく、出会いに行くための最初の一歩を踏み出すのに恐れることなく一人ひとりの成熟の過程を尊重できる主の足跡を追っていくならば、この道を見出すのは難しいことではないでしょう。主はわたしたちに、心と心を通わせて温もりとあわれみをもってすべての人に耳を傾け、本当に一つにし互いの建設に役立つことを探求することをわたしたちに教えます。

 この探求において、司教が孤独を感じたり、孤独な状況を作ったりしないことが大切です。自分に任された群れにも神の事柄に対する嗅覚があることを意識することです。特に、信者たちやその日々の必要性や気づきをもった密接な接触によって、直接の協力者たちである司祭たち。霊的に豊かな経験と様々な分野における宣教的使徒的献身による奉献生活者たち。そしてより様々な生活状況から、そしてそれぞれの力量に応じて教会の証しと使命を前進させる信徒たちです(第二バチカン公会議エキュメニズムに関する憲章『世の光』33項)。

 また、信仰の仲介がますます疎遠になりその伝達に困難が絶えないような現実の今の時というのは、皆さんの教会に、離れてしまった人々を呼び、信仰を、特に子どもたちにおいて強めるための、ほんものの継続的なを据えることが強く求められています。そのために、キリスト教の生活を始めるプロセスに特に注意を払うことを忘れないで下さい。信仰はただの文化遺産ではなく、イエスとの個人的な出会いとわたしたちに提供される新しいいのちの自由で歓喜に満ちた受容から生まれる賜物、プレゼントなのです。このことはたゆまぬ宣言と継続的な鼓舞を求めます。そうして信者が洗礼において受けた神の子であるという条件をもって一貫性を持つようになるためです。

 誠実な信仰を目覚めさせ、再燃させることは、結婚の準備と家族への同伴の準備を助けます。家庭の召し出しは愛における共生の生まれつきの場所であり、社会の起源的な細胞であり、信仰が据えられ体験されるいのちと家庭教会の伝達者なのです。福音化された家族は福音化の価値ある代表者です。特に神がその中で働かれた素晴らしいことを輝かせながら。しかも、その寛大さの環境という本質によって、司祭職あるいは奉献生活における主への追従の召し出しの誕生を推進することでしょう。

 昨年、皆さんは『21世紀のための司祭召命』という文書を交付し、そのように召命司牧における皆さんの地方教会の関心を指摘しました。これは司教がまさに優先事項としてその心に抱き、祈りにこれを導入し、候補者の選択において強調し、よい指導者たちとふさわしい教授たちのチームを準備しなければならない局面です。

 最後に、貧しい人たちへの愛と奉仕が、イエスが持ってきた神の国のしるしであることを強調したいと思います(使徒的勧告『福音の喜び』48項)。この近年、まさに皆さんのカリタスは、もちろん他の教会の有益な活動もそうですが、信者からも信者でない人からもよく認められてきました。とても喜ばしいことです。そしてわたしは主に、これが愛徳の源である、「よいことを行い、抑圧されたあらゆる人々を癒して過ごした」キリストに、そしてまた母であり自分の最も不運な子どもたちのことも決して忘れることのできない教会に近づく動機となるようにと求めます。そこで、《よきサマリア人のプログラム、イエスのプログラム》(ベネディクト十六世回勅『神は愛』31b)の奉仕にその才能と手の業を差し出す人々に敬意を示し、近さを示すようにと皆さんを招きます。

 愛する兄弟のみなさん、ローマ司教との一致の絆を示すためにVisita ad limina(「敷居での訪問」、司教たちに義務付けられている教皇との会見)で皆さんは集まっているわけですが、神の忠実で聖なる民への皆さんの奉仕に心から感謝したいと思います。希望をもって前進し続けてください。信者やそうでない人々、忘れ去られている人々にも、兄弟としてまた牧者として、皆さんの地方教会の霊的宣教的刷新の先頭に立ってください。そのために、実践のよりふさわしい方法の探求における相互の相談に乗る援助として司教協議会のふところでの気さくで兄弟愛に満ちた協力は大きな助けとなるでしょう。

 パパの特別なあいさつを、スペインの愛する子らに運んでくださるように、お願いですがら頼みます。教皇は皆さんを至聖なるおとめマリアの母としての日後に委ね、彼のために祈ってくれるように願い、皆さんに祝福を差し上げます。
  
バチカン、2014年3月3日

0 件のコメント:

コメントを投稿