2015年4月5日日曜日

4月3日(金)、聖金曜日、十字架の道行きのことば



あぁ、十字架に架けられたキリスト、勝利のキリスト、キリストの十字架の道行きはその生涯の要約です。これは御父のみ旨へのその従順を見える形にしたものです。これはそのわたしたち罪びとに対する無限の愛の実現です。これはその使命の試練です。これは啓示と救いの歴史の決定的な成就です。その十字架の重みはわたしたちのあらゆる重荷を解いてくれます。

 イエスの御父のみ旨への従順を見ると、わたしたちの反抗や不従順に気づかされます。自分のもとに集まった人々や、愛する人に売られ、裏切られ、十字架に架けられたのを見ると、わたしたちの日々の裏切りや習慣的な不実に気づかされます。キリストの無垢、罪なき小羊のうちに、わたしたちの罪責を見ます。その打たれ、唾を吐きかけられ、ゆがめられた顔のうちに、わたしたちのあらゆる罪の残忍さを見ます。その受難のむごさを見て、わたしたちの心や行動にある残酷さを見ます。その「見捨てられた」感のうちに、家族や社会、配慮や連帯から見捨てられたすべての人を見ます。その裸でひっかき傷だらけでずたずたになった体を見ると、長い歩みのうちにわたしたちの怠慢と無関心のためにゆがめられ、見捨てられたわたしたちの兄弟姉妹のからだを見ます。あなたの渇きのうちに、主よ、全人類を抱きしめ、ゆるし、救おうと望んでいたいつくしみ深いあなたの御父の渇きを見ます。あなたのうちに、神の愛であるあなたのうちに、さらに今日、あなたへの信仰のゆえに、わたしたちの目の前で、あるいはしばしばわたしたちの共犯的沈黙のうちに迫害され、首を切られ、十字架に架けられた兄弟姉妹を見ます。

 主よ、わたしたちの心に信仰、希望、愛徳、自分の罪ゆえの痛みの感情を刻み付けてください。そしてあなたを十字架に架けたわたしたちの罪を悔やむように導いてください。わたしたちの言葉の回心を、生き方と働きの回心へと変えるように導いてください。あなたのゆがめられた顔のはっきりとした記憶を保ち、あなたがわたしたちを解放するために払われた恐ろしい代価を忘れないように導いてください。十字架に架けられたイエスよ、わたしたちの信仰を強め、誘惑を前にして崩されないようにしてください。わたしたちのうちに希望を再燃させ、世の長きにわたる誘惑のうちに没することの内容にしてください。わたしたちのうちに愛徳を保ち、汚職や世俗性にだまされないようにしてください。十字架は復活への道であることをわたしたちに教えてください。聖金曜日は過越祭(復活祭)の光への道であることをわたしたちに教えてください。神がその子らの誰一人として忘れることなく、わたしたちを、その無限の慈しみをもってゆるし、抱きしめるのに飽きてしまうことなど決してないということをわたしたちに教えてください。けれど、ゆるしを乞い、御父の無限のいつくしみのうちに成長するのに飽きてしまわないようにわたしたちにも教えてください。

キリストの魂、わたしたちを聖化してください。
キリストの体、わたしたちを救ってください。
キリストの血、わたしたちを酔わせてください。
キリストの脇腹から流れ出た水、わたしたちを清めてください。
キリストの受難、わたしたちを強めて下さい。
あぁ、善良なイエスよ、わたしの祈りに耳を傾けてください。
あなたの傷のうちにわたしたちを隠してください。
わたしたちがあなたから離れることのないようにしてください。
悪魔のわなからわたしたちを守ってください。
臨終の時にわたしたちの名を呼び、
あなたに向かって行くようにわたしたちを引き寄せて下さい。
そうしてあなたの聖人たちとともに、いつまでもあなたを、
ほめたたえることができますように。アーメン。

2015年4月4日土曜日

2月2日:年少者後見のための聖座委員会について



司教評議会議長団および奉献・使徒的生活省の上長たち

 去年の三月に、すでに201312月に呼びかけた、年少者後見のための聖座委員会を設立しました。それは傷を負う年少者や成人すべての保護のための決まりと手だてを改善するための進言と行動を提供するためであり、この分野での努力において目覚ましく秀でている人たちがこの委員会を構成してほしいと思って皆さんを呼びました。

 続く七月に、司祭たちによって性的ハラスメントの対象となった人たちの幾人かと会合をし、その苦しみの激しさと信仰の強さに心動かされ、驚かされました。このことは今一度、目下の人への性的虐待というむち打ちを根絶し、ハラスメントに苦しんだ人のための和解と癒しの道を開くためにできることをすべてし続けなければならないというわたしの確信を強めたのでした。

 こうしたわけで、この前の12月に、全世界のそれぞれの教会の代表者として新しいメンバーを委員会に加えました。そして数日のうちに、この全メンバーがはじめてローマに集うことになります。

 この文脈において、委員会はわたしを励まし、司教評議会や諸教区、奉献・使徒的生活会などといった様々な環境にある全教会の、傷を負う年少者や成人の保護を保証し正義といつくしみの答えを出すために必要な行動を実践に移すという献身の約束を推進するための、新しく、有効で、効率的な道具となるだろうと考えています。

 家族の人たちが、教会が彼らの子どもたちを守るための努力を惜しまないことを知ることができるようにすべきで、安全な家なのだということで、完全な信頼をもって教会に向かう権利があるのです。ですから、どのような性質のものであれ、たとえばスキャンダルを避けたいと言ったような、他の配慮事項を優先させることはあり得ません。なぜなら、絶対的に奉仕職には年少者にハラスメントをする人のための居場所はないからです。

 また、諸司教協議会が、司祭たちによる年少者のセクシュアル・ハラスメントのケースを扱うための指針を準備するのを助けるために、201133日に教理省から出された通達を完全に果たすようにしっかりと目を光らせなければなりません。諸司教評議会が定期的に規律を再確認し、その達成を確認するためのこうした道具を受け止めることが重要です。

 小教区や他の教会の機関が、傷を負う年少者や成人の安全を保障するのを確かなものとする務めは教区司教と上長たちの務めです。性的ハラスメントに苦しんだ人たちとその家族に対するイエスの憐みを示す教会の義務の表現として、諸教区や諸奉献生活会、使徒的生活会に心理学的また霊的サービスを入れることができる司牧的配慮のプログラムを確立することが促されています。司牧者や修道共同体の責任者はハラスメントに苦しんだ人たちやその愛する人たちと顔を合わせる心構えがなければなりません。それは大変苦しんだ人々に耳を傾け、ゆるしを乞う好機なのです。

 こうした理由で、皆さんには、年少者後見のための委員会への完全で注意の行き届いた協力をお願いします。わたしが皆さんに託した務めは、「徳に満ちた実践」と性的ハラスメントに対して出される答えに関する教育のプログラムや養成、指導の相互意見交換を通して、皆さんと皆さんの委員会への臨席を含みます。

 主イエスが、その愛と人々の間でその現存を特徴づけてきて、傷を負う年少者や成人の善に関する特別な責任に翻訳される、小さな者たちに対する特別な愛情を教会の奉仕職にあるわたしたち一人ひとりに注ぎ込んでくださいますように。至聖なるマリア、温もりの御母が、寛大かつ精力的に、過去の不正を謙虚に認めこれを修復し、イエスに特に愛される人々を保護する務めに対して常に忠実であるというわたしたちの義務を果たすのを助けてくださいますように。
バチカン、201522
主の奉献の祭日に

長崎信徒発見150年にケベドの枢機卿オルランド・ベルトラムス卿を派遣する書簡



尊崇する兄弟、コタバト州大司教
ケベドの枢機卿オルランド・ベルトラムスO.M.I.へ。

 愛する日本の地の信徒たちは、250年間忠実に熱心にみ言葉に従い、その心の中に愛をもって幾世代にもわたって伝えた信仰の宝を保ち、秘密裏に霊的な旅をつづけた末に見出さた時からの150周年を盛大に祝っています。わたし自信も、去年の一月に、一般謁見にて、このモダンの時代にあって重要な重みを持つものとして、日本の教会での殉教と迫害における証しについて言及しました。あのときから、洗礼の秘跡を執行する司祭を持つことはなく、共同体の精神に忠実に、祈りや聖書の黙想、霊的生活、霊的栄養補給に心を定めたのでした。宣教が再開された時、かつて隠れ潜んでいた多くのキリスト者たちが、指摘した通りに、再び信仰、希望、愛の真理を公に言い表したのでした。

 先に言及した記念日にあたり、ほとんどは日本が率先して行ったことではありますが、信徒たちの模範を思い出し、新しくされたいのちに突き動かされ、たゆまなく存在し続けたキリストの光の経験のなかで、堂々と寛大に救い主をたたえます。

 そういうわけで、東京大司教であり日本司教評議会議長のペトロ岡田武夫卿と、当時の長崎大司教高見三明卿が、この祝日にわたしたちを招く手紙を書いてくださったのでした。この招待をしてくださったすべての人に感謝の念を抱いています。彼らはわたしたちの心の中にいますので、今、わたしたちを代表し、愛する住民に意味のあるキリストの弟子であるふさわしい人を長崎に送りたいと思いました。

 そういうわけで、コタバトの大司教区を統治するわたしたちの尊敬する兄弟、わたしは慎重にこの手紙をあなたに書き送ります。この祭りの日々、314日から17日の間、隣人である長崎の町で行われる行事を荘厳に果たすために、わたしたちの特別な大使として派遣されてほしいと思います。

 ミサを司式し、わたしたちの名において先に言及した大司教たちと他の司教団、司祭団、修道者たち、修道女たち、公的機関の高官たち、全信徒たちを見守り、挨拶をしてください。あらゆる説教の場において、日々の生活においてキリストに倣うようにと励ましてください。最後に、キリストの教会と福音への愛の力と熱心を刷新することを念頭に置き、日本の教会の劇的な歴史すべてと多くのキリスト者の証しを思い出させてほしいと思います。そして日々の生活で目標とすることのできる信仰の熱心を、ペトロ岐部と187人の福者殉教者に見ることができるよう示してください。

 尊敬する兄弟、わたしたちはあなたが使命を果たせるように寄り添い、援護します。同じ合いをもって、祝典に参加するすべての人の代わりに、あなたに天の賜物の約束とわたしたちの親愛のしるしとしてあなたに使徒的祝福を授けることができることをうれしく思います。

バチカン、2015215日、使徒座、フランシスコ