2013年3月23日土曜日

外交使節団への演説





3月22日9時38分(ACI/EWTNニュース)

教皇フランシスコは今朝ローマ聖庁によって信任状を得た外交官メンバーに対して演説を行った。そこで現代の霊的な乏しさは「相対主義の専制」であると指摘した。

閣下諸君、
紳士淑女の皆さん、

皆さんの最古参であるジェーン・クラウデ・ミシェル外交官の、皆さんの代表としてわたしに向けられた優しさに満ちた言葉に心から感謝し、形として教皇が世界に対して与える抱擁となることが望まれる、単純だけれど同時に密な、この挨拶の交換を喜んで受け入れます。事実、皆さんを通して皆さんのもとにある人々に出会い、こうしてある意味、あらゆる喜びや人生のドラマ、希望、望みを抱える皆さんの同胞の一人一人に近づくことができます。

皆さんの多くがここにいてくださることは、ローマ聖庁と皆さんの国々が保っている関係が実り豊かなものであり、人類にとっての善のまことの機会であることのしるしでもあります。実際に、これはまさにローマ聖庁が気にかけていることなのです。つまり、この地上のすべての人々の善です。

そしてまさにこのアイデアをもってローマの司教は、皆さんが代表する国々の友情と情愛と、この意向を皆さんが同じようにもっておられるという確信に頼ることができると理解しながら、その奉仕職を始めます。同時に、まだローマ聖庁と外交関係のない少数の国々とも歩み始めるための機会となればと望んでいます。そのうち、心から感謝いたしますが、わたしの奉仕職の開始に当たってミサに参列することを望まれたり、近さを示す仕草としてメッセージを送ってくださったる国々もありました。

御存じのように、アシジのフランシスコのことを考えながらわたしの名を選んだことにはいくつもの動機があります。彼の人がらはイタリアやヨーロッパという土地を越えて、またカトリックの信仰を告白しない人々の間でもよく知られています。その人柄の一番有名なもののひとつは、フランシスコが貧しい人々たちに対して抱いていた愛です。

まだどれほどの貧者が世界にはいることでしょう!こうした人たちが直面する苦しみはいかほどでしょうか!アシジのフランシスコの模範に倣って、教会は常に地上のすみずみに至って窮乏に苦しむ人々の世話をし、守ろうとしてきました。そして皆さんの国々の多くで病人のため、孤児のため、ホームレスやストリートチルドレンのため、疎外されたあらゆる人々のために何かしようと努力し、このようにしてより人間的でより正義に満ちた社会づくりのために働くキリスト教徒たちの寛大な活動を確認することができるでしょう。

けれど他の貧しさがあります。それは我々のいる現代の霊的な貧しさで、もっとも豊かだと考えられている国々にもひどい影響を与えているものです。それこそわたしの前任者、敬愛され尊敬される名誉教皇ベネディクト16世が『相対主義の専制』と呼んでいるものであり、一人一人を自分自身の基準に任せ、人々の間での共同生活に危機をもたらすものなのです。

そういうわけで、わたしの名の二つ目の理由を述べることになります。アシジのフランシスコはわたしたちに言います。平和を建設するために努力しなさい、と。けれど真理なくしてまことの平和はありません。もし一人一人が自分自身を基準とし、一人一人がいつも自分の権利だけを主張し、他者の善、この地において全人類に共通の本性に端を発するすべての人の善を同時に考慮に入れられないとするならば、まことの平和はありえないのです。

ローマ司教のタイトルの一つは『Pontifix』です。これは橋を建設する、という意味です。神と人々の間の橋です。わたしたちの間での対話が全人類の間での橋づくりに貢献し、一人一人が他者を敵ではなく、競争相手ではなく、歓迎し抱擁するために兄弟として見出すことができれば、と望んでいます。

さらに、わたしの出自そのものがわたしを橋づくりのために働くよう駆り立てます。実際、ご存知のように、わたしの家族はイタリア出身です。ですからいつもわたしのなかでこの隔たりのある場所や文化間の対話、世のこちらの端とあちらの端との対話が活き活きと存在しています。それはこんにち、ますます近くなっており、相互扶助的で、そこには出会い、ほんものの兄弟愛の現実的な環境を作る必要性があります。

この務めは宗教という者の役割の基本でもあります。事実、神を忘れて人々の間に橋を作ることはできません。けれど同時に、その逆も事実です。他者を忘れては神とのほんものの関係を生きることはできないのです。

ですから、様々な宗教間での対話をさらに密なものとしていくことは大切です。第一にすべきはイスラム教だと思います。わたしはイスラム世界の民政上また宗教上の指導者たちがわたしの着座ミサにあんなにもいてくださったことを実に価値あるものと味わいました。そしてまた、信仰をもたない人々との関係を密にすることも大切です。引き離し傷つけるような相違が支配することなく、逆に多様性が、すべての国々、人々の集まりと集まりの間の友情のまことの絆を作る望みを優先的に支配するように。

物質面においても霊的な面においても貧困に対してなされる努力、平和を打ち立てること、橋を作ること。これが、みなさんが代表するどの国にも参加するよう招きたいと望む道に関するポイントです。けれど、もしわたしたちの地球をますます愛していくということを学ばないなら、これは困難な道となります。

この点においても、フランシスコという名について考えることは、わたしの助けとなります。彼は全被造物への深い尊敬、あまりにしばしば善のために用いず、たがいに危害を加えながらむさぼるように搾取しているわたしたちの環境保護について諭します。

親愛なる外交官のみなさん、
紳士淑女の皆さん、

改めて、みなさんが国の秘書部と共に発展させている平和建設、友情と兄弟愛の橋づくりのためのはたらきすべてに感謝をのべます。

皆さんを通して、共通の実りある職務を期待してわたしの着座をきっかけにした儀式に参加してくださったみなさんの政府に重ねがさね感謝を申し上げたいと思います。全能の神が皆さん一人一人、皆さんの家族、皆さんが代表する国々を神の賜物で満たして下さいますように。どうも有難うございました。

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